電気と水のストーリー

   

長野県企業局では、長野県の豊かな暮らしを支えつづけるために、安全安心なライフラインの確立と、2050ゼロカーボンの実現に向けて取り組んでいます。電気事業と水道事業、それぞれのプロジェクトの背景にある現在進行形のストーリーをご紹介します。

Vol.02

脱炭素社会構築を支える、先端技術の活用と研究

IoTやAI技術を活用した水力発電所の保守のスマート化や、よりクリーンな再生可能エネルギー活用の研究に取り組んでいます。

既存のシステムをすべて統合する、次世代監視制御ネットワークシステム

長野県企業局では、長野県DX戦略に基づき、最先端の技術を積極的に取り入れて業務に反映していくための「スマート化推進センター」を令和3年4月に設置し、5月には川中島庁舎内に水力発電所を監視する「中央制御所」を開設しました。

これまで北信と南信エリアにそれぞれあった監視システムを刷新し、ここ数年に建設された新しい発電所のシステムも統合。令和4年度末までに「次世代監視制御ネットワークシステム」を構築し、県内にある水力発電所を効率的に一括管理していきます。

次世代監視制御ネットワークシステムでは、すべての発電所を中央制御所から遠隔で、24時間体制でモニタリングしていくことで、情報の一元化、指揮命令系統の統一が図れ、危機管理体制が強化されます。

長野県企業局の水道事業にも対応できるよう、柔軟なシステム構築を目指しています。

川中島庁舎内にある中央制御所。「次世代監視制御ネットワークシステム」の構築に向けて準備中

IoTを活用した保守のスマート化

長野県各地にある水力発電所は無人で運転されていて、水車発電機、変電設備、取水口などの設備は、カメラやセンサーで常時監視されています。

近年の通信技術の進化により、各設備の監視データを高速かつ大量にインターネット上に収集できるようになりました。 スマートフォンやタブレットがあれば、どこからでもデータを確認できるのはもちろん、人間の感覚に頼りがちだった定期的な巡視作業や、手作業でデータを記録するといったことも不要になり、業務の大幅な効率化が図れます。

また、監視データをAIで分析することで、人間が気づかないような異常を検知することも可能になります。

 

次世代エネルギー水素の研究

燃焼時に二酸化炭素を排出しないことで、次世代エネルギーとして注目されている水素の研究にも取り組んでいます。

企業局の水力発電によるクリーンな電気で、川中島の地下水を電気分解して作る、100%再生可能エネルギー由来の水素ステーションを、平成31年4月に長野県内で初めて整備しました。

水素で動く燃料電池自動車(FCV)も導入し、そのままの状態で貯めておくことが難しい電気の蓄電目的としての活用可能性などを研究しています。

また、燃料電池自動車の普及啓発活動に関する協定を、オリオン機械、ユーグループと締結し、官民連携でFCVの実証事業における普及活動に取り組んでいます。

県内初、川中島庁舎に整備された100%再生可能エネルギー由来の水素ステーション

水素ステーション本体。水力発電による電気と川中島の地下水を活用

先端技術で課題を乗り越え「2050ゼロカーボン」実現へ

脱炭素社会の構築に向けて、新しい水力発電所の建設を加速すると同時に、職員の退職や人口減少にともなう専門人材の不足も予想されているため、増え続ける発電所の運転・保守管理の持続可能なあり⽅も構築していく必要があります。

水力発電所の一括管理や、保守のスマート化の取り組みを推進していくことで、2050年までに二酸化炭素実質排出量ゼロをめざす「2050ゼロカーボン」の実現を支えていきます。

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