水道事業
未来に伝えたい、
命をつなぐ「水の恵み」
長野県の県営水道事業は、関係市町村との協調を図りながら、
効率的な経営により安全で低廉な水を安定供給することを目的とした広域的な水道で、
上水道事業(末端給水事業)と水道用水供給事業の2つの事業を経営しています。
企業局は、安全・安心、そして安定的な水道水の供給に努めてまいります。
上水道事業(末端給水事業)とは
長野市、上田市、千曲市、坂城町の3市1町に及ぶエリアで、約81,000戸(約181,000人)に県営水道として給水しています。
小規模水道の統合、老朽施設の更新への対応や公衆衛生の向上を図るため、上水道や簡易水道を整備統合した広域的な上水道の整備について、地元からの要望を受け昭和39年に給水を開始しました。
水道用水供給事業とは
松本市、塩尻市、山形村の2市1村に対し、奈良井川総合開発事業により建設された奈良井ダムを水源とし、1日当たり81,000立方メートルの水道水を自治体に供給しています。
松本市、塩尻市の都市化に伴う人口の増加や、生活水準の向上による水需要の増加、地下水の水不足の解消を図るために、昭和48年度から事業に着手しました。
将来にわたって安全・安心な水道水を
安定して供給するために
基幹施設と管路の
耐震化・長寿命化
近年、全国各地で頻発する大規模地震を踏まえ、浄水場等の基幹施設や、送水管等の基幹管路の耐震化を優先的に推進しています。当初戦略から前倒しし、令和6年度の完了を目指しています。基幹施設の耐震化は令和元年度までに完了しています。
施設・設備や管路の更新については、先端技術の活用による劣化状況把握に努め、法定耐用年数の1.5倍の長寿命化に取り組み、更新費用の平準化を図っています。
豪雨や地震への防災対策強化
豪雨時においても水道施設の機能を維持するため、浄水場等への止水壁の設置や、施設の嵩上げ等を実施し、社会機能を維持していく上で重要な施設の防災対策に万全を期しています。
また、災害時に用水送水管から近隣の避難所等へ直接応急給水を行うことができる、応急給水ポイントを順次整備しています。
水道事業の広域化・広域連携を推進
本格的な人口減少による水需要の減少、老朽化する施設・管路の更新、水道事業に携わる専門人材の確保・育成などの課題に対応するため、関係市町村と連携し、持続可能な経営基盤の確立に向けた広域化・広域連携の推進や、将来の地域にふさわしい水道事業のあり方について、検討しています。
企業局がこれまでに培った技術力等を活かし、水道に関する実務研修会の開催や、長野県下水道公社と協働し公社を窓口とした上下水道のワンストップサービスとなる「なんでも相談窓口」を開設するなど、市町村等水道事業者の支援を行っています。
上田長野水道広域化協議会について
末端給水エリア(長野市、上田市、千曲市及び坂城町)では、関係市町及び企業局で「上田長野地域水道事業広域化研究会」を設置し、水道事業の広域化について検討を進めています。また、関係市町と連携を図り、地域住民の皆様や将来世代を見据えた子育て世代への説明会、シンポジウムの開催などを通じ、持続可能な水道事業経営の理解促進と機運醸成を図っていきます。
水道水ができるまで
千曲川の水を取水口から取り入れ(最大取水量0.833㎥ /s)、沈砂池で水の中の大きなゴミや砂などを沈めて取り除きます。
着水井で入ってくる水の量を計量調節し、濁りを取り除く薬品等を投入。沈でん池で水と薬品をかき混ぜて、水中の汚れを沈でんさせます。
その水をろ過池で砂の層に通して小さなゴミや汚れを取り除き、配水池に貯水して各家庭や学校・工場などへ給水します。
千曲川
1
水の取り入れ口(頭首工)
上田市小牧地籍において、千曲川から表流水を取り入れます。
2
沈砂池
取り入れた水の中のゴミ等を取り除きます。また、水中油分計、水質モニターを設置し、油分等が流入した場合、管理室へ知らせます。
3
着水井
導水管を通ってきた千曲川の水が到着します。ここでは浄水場へ流入する水量を調節したり、水中の濁りを取るために、凝集剤を入れます。
着水井には撹拌機が設置されており、活性炭を水に混ぜ込んでいます。
4
高速沈殿池
高速凝集沈殿池は四つの池からなります。中心にある集合池から四つの高速沈殿池へ水を均等に分けます。
高速沈凝集殿池では水と凝集剤を撹拌し、生成したフロック(濁りが糸くず状に凝集したもの)を沈澱させます。
5
急速ろ過池
ろ過池で高速沈澱池で沈まなかった微細な浮遊物を、砂・砂利の層を通して取り除きます。
6
計量井
計量井でろ過した水の量を計り、消毒剤を注入します。
7
浄水池
地下に、浄水を蓄えておく槽があります。
8
排水処理施設
(排泥井、濃縮槽、排水池)
排水池では、浄水処理する過程で発生した汚泥を水と分離し、水は着水井(3の写真)へ戻します。
9
天日乾燥池
汚泥は天日乾燥池へ送り、天日で自然乾燥させます。
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管理室
水の送水状況等の確認を行っています。
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水質検査室
原水や浄水の水質検査を行っています。
地下水を井戸で汲み上げ、塩素滅菌されにくいクリプトスポリジウム(原虫)等の汚染に備えて紫外線処理を行います。
送水ポンプにより標高の高い配水池まで水を押し上げ、調整池で他の配水池への送水量を調整した上で、各家庭や学校・工場などへ給水します。
1
井戸
地下のきれいな水をポンプでくみ上げます。
2
紫外線処理装置
汲み上げられた地下水には、塩素滅菌されにくい微生物が含まれている恐れがあります。地下水に紫外線を照射し、微生物を不活性化(感染能力を失くす)します。紫外線処理した水は「原水」といいます。
3
着水井
紫外線処理後、原水は着水井(ちゃくすいせい)に集められます。ここで、滅菌するための薬品「次亜塩素酸ナトリウム」と、pHを調整するための薬品「苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)」を注入します。薬品処理をした水が「水道水(浄水)」です。
4
次亜塩素酸ソーダ注入設備
水道水を滅菌するための薬品(次亜塩素酸ナトリウム)を貯蔵するタンクと、注入装置です。一般的に塩素といわれる薬品です。滅菌後、水道水に残っている塩素を残留塩素といいます。蛇口から出る水道水の残留塩素濃度の水質基準は0.1mg/ℓ以上です。
5
苛性ソーダ注入設備
水道水のpHを調整するための薬品(苛性ソーダ(水酸化ナトリウム))の注入装置です。pHは0~14までの数値で表し、pH7が中性、7より小さくなれば酸性、大きくなればアルカリ性です。水質基準はpH5.8~8.6です。
四ツ屋浄水場の原水は、pH6.9~7.0で基準値内ですが、水道管を錆びにくくするため、弱アルカリ性となるよう調整しています。
6
浄水池
水道水は、いったん浄水池に貯えられます。
約3,000m3(25mプール約8個分)の水道水を貯めることができます。
7
送水ポンプ
水道水を、浄水池から小松原配水池まで送るためのポンプです。ポンプは4台あり、使われる水量に応じ、運転する台数を自動的に切替えています。
奈良井川の水を取水堰堤から取り入れ(1㎥ /s)、導水トンネルと導水管を通して本山浄水場の着水井へ自然流下により導入します。
着水井で入ってくる水の量を計量調整して、薬品混和池で薬品等を投入。沈でん池で水中の汚れを沈でんさせます。
その水をろ過池で砂の層に通して小さなゴミや汚れを取り除き、浄水池に貯水します。
こうして浄水した水を各市村(松本市、塩尻市及び山形村)の配水池まで送水します。
奈良井川
1
奈良井ダム
洪水調節、河川の流量維持、水道水確保を目的とした多目的ダムで、水を蓄えます。
2
片平取水場
奈良井川から水を取り入れます。
3
導水トンネル
取り入れた水を浄水場まで自然流下で導きます。
4
着水井
浄水場へ流入する水量の調整をします。
5
薬品混和池
【前混和池】水中の細かな泥やゴミを固めるために凝集剤の、ポリ塩化アルミニウム(PAC)を入れます。
【後混和池】殺菌消毒のために次亜塩素酸ナトリウムを入れます。
6
フロック形成池
ポリ塩化アルミニウム(PAC)を注入した水をフロキュレーターという羽根車でかき混ぜフロック(泥の固まり)を作ります。
7
薬品沈殿池
フロック形成池で大きくなったフロックを約4時間かけて沈殿させます。沈んだフロックは、汚泥掻寄機で集められ排泥池に送られます。
8
急速ろ過池
薬品沈殿池で沈まなかった浮遊物をアンスラサイト、砂、砂利の層を通して取り除きます。ろ過が済んだ水は、きれいな水道の水(浄水)となります。
9
浄水池
本山浄水場で作られた水道の水(浄水)を蓄える水槽です。浄水場で作る3時間分の水を貯めることができます。
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計量器室
水道水の供給先(松本市、塩尻市、山形村)への送水量を計測します。